2022.4.19

独立を決めてからオープンまで1年!失敗しない飲食店開業の流れ”8ステップ”(その②)

独立して飲食店を開業しよう!そう決心しても何からはじめていいのかわからないのが当たり前です。一般的に約1年は掛かるという飲食店の開業までにやるべき事をしっかりと把握して、お客様に喜ばれる繁盛店をつくり上げましょう!

 

独立を決めてからオープンまで1年!失敗しない飲食店開業の流れ8ステップ①はコチラ

Step.5 店舗設計

 

●店舗づくりはデザイン、設計、施工の3つの作業から

デザイナー

・店舗の意匠(デザインなど)に関する計画を立てる。
・建築免許を持っていないことが多いため、施工図面が書けない。
・デザインのみ発注できる。そのあとは設計士に施工図面をかいてもらう。

設計士

・デザイナーの書いたデザインを元に工事をするための施工図面を書く。
・法律や構造、防災などの様々な要素を加味して図面を引く。
・建築免許が必要。

施工者

・施工図面をもとに建築工事を行う業者。設備工事(電気工事など)と大工は別の専門領域となる。

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●業者選定は「分離方式」か「一括発注方式」

親身に相談にのってくれる信頼のおける業者を探すことが重要となります。その上でどちらのやり方でやっていくかを決めます。

分離方式

デザイン、設計、施工を異なる専門家に依頼。複数の業者から見積もりを取って比較検討できるが、取引する業者が増える分、業者の間に入り仕事をコントロールする必要がある。

一括発注方式

業者の間に入る必要がなくなり手間はかからないが、1社になる分施工コストがその業者のさじ加減で決まってしまう可能性がある。

信頼できる業者を探すポイントとしては「知人に紹介してもらう」、「過去の実績を調べる」、「出来るだけ多くの業者をたる」などがあります。

逆に「最初から費用の話ばかりする」、「過去に手がけた店の紹介を拒否する」ような業者は避けた方がいいでしょう。

 

●基本設計と実施設計

オーナーの要望に沿ってデザイナーがデザイン図を書き、設計業者が図面を引いてアウトライン(建築プラン、建物の形)を確認するのが「基本設計」。実際に施工する上で必要な指針や詳細を書き表し最終的な設計図を作成するのが「実施設計」です。

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店舗設計で最初に行うべきはゾーンニング

ゾーンニングとは店舗に必要な機能をどう配置するかを大まかに決める事です。客席やキッチン、トイレなどはどの位置でどれくらいのスペースにするのかざっくりと決めて、そのあとより詳細に決めていきます。

動線を考えたレイアウトを考える

大まかなゾーンニングが出来たら次は平面のレイアウトを考えます。この際にはお客様がどう動くのかの「客動線」とスタッフの動きである「作業動線」を考慮する必要があり、特に店内を歩き回り様々な作業をするスタッフの「作業動線」次第で効率は大きく変わってきますのでしっかりとした動線設計が必要です。
ポイントとしてはスタッフがスムーズに店内を動ける「回遊動線」にし、さらになるべく人同士がぶつからないように出来ると良いと思います。

客席数を決める

客席数が多いほど、一度に多くのお客様に入店していただけるので効率は良くなります。しかし、ただ席を多くすれば良いというわけではなく、お店のコンセプトや客単価によっては席数を絞る必要があります。一般的にゆったりした席ほどお客様は居心地の良さを感じるため客単価は高くなる傾向がありますので、自分の目指す店のコンセプトと収支計算のバランスを取りながら席数を決める必要があります。以下は坪当たり(キッチンスペース含む)席数の指標です。

店舗タイプ 標準的な坪当たり席数
標準的な居酒屋 1.5席~2席

居酒屋(客単価高)

1席~1.5席
高級店 1席以下
立ちのみ・大衆酒場 2.5席~4席

キッチンスペースは狭く客席は広くが鉄則

一般的にキッチンと客席の比率は1:2が適切と言われています。キッチンスペースはお店が満席になった時でも15分以内に料理を提供できる能力が必要だと言われています。

 

Step.6 メニュー設計

 

●商品コンセプトの決定

メニューを決めていく際、最初に行うのが「商品コンセプト」の決定です。これは店舗コンセプトを元に、「どのような料理やドリンクをどんなスタイルで提供してお客様に喜んでもらうのか?」の方向性の決定となります。

「地元の食材にこだわった安心して食べられる料理」
「もと和食の職人が腕によりをかけてつくるお値打ちな料理」

など商品コンセプトを明確にすることでメニュー構成に1本の骨格ができ、来店したお客様にとっても分かり易いものとなります。

●メニューアイテム数の決定

商品コンセプトが決定したら次はメニューアイテム数を決定します。メニュー数は多ければ良いというものではなく、お客様に選ぶ楽しさを提供すると同時に使用食材、調理オペレーション、食材のストックスペースなども考慮して決定します。
専門店を除いて個人経営のカフェや居酒屋では30~50アイテム程度が一般的なメニュー数となります。

ひと昔前のいわゆる総合型居酒屋のメニュー数は100品程度でしたが、現在では減少してきており、客単価4000円程度の高単価総合型居酒屋で80品。客単価2000円程度の低客単価居酒屋では30品~40品程度が主流となっております。

 

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●売価設定のポイント

客単価を意識した売価設定をする

事業計画の段階で設定した想定客単価を実現するために最も重要なのがメニュー単価の設定です。ラーメン屋などの単品販売のお店は比較的簡単ですが、居酒屋などのお店では「お酒とおつまみ」を目当てに来るお客様が多いため複数のメニューを注文いただいた結果が客単価になります。前述したように30~50アイテムのメニューでコントロールしていかなければなりませんが、これにはいくつかのセオリーがあります。

  内容
居酒屋の場合は料理2.5品、ドリンク2品で客単価を計算 よく使われるのがこの計算式です。この品数にお店のメニューの単価を掛け合わせて算出します。
売価の幅は一番安いメニューと高いメニューの差を2倍以内に抑える あまりにもメニュー価格の幅が広すぎるとお客様にとっては高い店にみえてしまうと同時にいくらの支払いになるかの想定がしづらくなってしまいます。逆に2倍以内に抑えておけば、「どれを頼んでもそんな無茶な会計にならないだろう」と安心感を与えることができます。
胃袋の大きさを考える 「お酒は底なし」という方は比較的多いと思いますが、「胃袋が底なし」という方はほとんど存在しません。一般的に成人男性の食べる量は750gと言われていますのでこれを参考に各メニユーの量と価格を設定する必要があります。
原価率は一律にしない 一般的に30%を目指すと言われる原価率ですが、すべてのメニューの原価率を30%で設定してしまうとメリハリのないものになりやすいので、下記の表のようにいくつかのテーブルに分けた原価率で売価設定することをオススメします。
原価率 商品数割合 概要
40% 1 お値打ち商品としてお客を店に呼ぶ役割
35% 2 お値打ち商品としてお客を店に呼ぶ役割
30% 4 原価率設定の目標商品
25% 2 利益商品そしておすすめ商品で注文を目指す。
20% 1 利益商品としておすすめ商品で注文を目指す。

 

Step.7 スタッフ募集と採用

 

●人員は開業計画から逆算して決定する

スタッフは多くても少なくてもダメ。事業計画で計算した人件費をもとに採算がとれるような人員配置をする必要があります。こちらも一般的なセオリーがありますのでご紹介します。

  決定方法
ホール人数(満席時) 4~6テーブル(組)に1人
客単価の高い飲食店 最大4テーブルで1人
ホール人件費:キッチン人件費 1:1

人員計画の例(逆算)

店舗売上 月商300万円 30席 社員2名
人件費率25% 最大人件費75万円
ホールキッチン比率 1:1
社員給与 50万円(各25万円)

アルバイト時給
1000円
75万円-50万円=25万円
25万円÷1000円=250時間
250時間÷25日=10時間/日

自分を含む社員2名とアルバイト5時間/日×2名まで可能

 

最初のスタッフ募集は開店30日前くらいで

あまりに早く募集しすぎるとせっかく採用しても他に移られてしまう可能性が高くなりますし、逆に遅すぎるとトレーニングに支障をきたしてしまいます。募集は開店30日前ごろからアルバイト情報サイトなどで開始します。

採用面接での注意事項

エントリーに対してはすぐに連絡します。アルバイトは複数エントリーするのが普通なので競合より先に面接をして日程を抑えましょう。通常は良い店が見つかれば次の面接にはいかないため。お店は選んでいる立場であると同時に「ここで働きたいか」と選ばれているという事も忘れずに。

アルバイトの面接でチェックすべきこと
笑顔が出るかどうか
約束の時間に来たか
勤務可能な時間帯
お店との相性(コンセプトにあった人か?)

Step.8 販促計画

● 開店自体がお客様を引き付ける強力な販促

「いったいどんなお店がオープンするのだろう?」というように新しく飲食店が開店すること自体が一つの大きな販促となります。「開店景気」というようにオープンしてから一定期間は「新しくできた店に興味をもったお客様が来店します」。ただ、いくらお客様が来店してくれるからと言って、まだ不慣れなスタッフでお店のキャパ以上の集客はすべきではありません。料理の提供の遅さやサービスの不足などで満足感が下がるとお店に悪い評判が立ってしまいます。十分なトレーニングを心がけましょう。 

シークレットオープンも一つの手段として考える

長い準備期間を経てやっと開店にこぎつけた手前、すぐにでも沢山のお客様に来店してもらいたいのはやまやまですが、華々しいオープンキャンペーンはしないで開店の事前告知程度で1週間程度のシークレットオープンをするのも選択肢の一つです。こうすることでスタッフも店のオペーションに慣れますし、万全の状態で本オープンを迎えることができます。

 

● クーポン券の予算は目標売上の3%までに

クーポン券の予算の考え方

飲食店の開業によく使われるクーポン券ですが、100%すべてを回収したとしても目標売上の3%以内に収まるように設定します。 

例)目標月商500万円 原価率30% クーポン有効期間1ヵ月
クーポン券で割引くメニューの原価分 500万円×1ヵ月×3%=15万円
クーポン券で割引くメニュー価格の合計 15万円÷30%(原価率)=50万円

50万円分のメニューの原価は15万円なのですべてのクーポンが使われたとしても目標月商の3%で収まる。

このように飲食店の開業には様々な作業がありますが、ひとつひとつはそれほど難易度の高いものではありません。計画的に開業準備をすすめていくお役に立てれば幸いです。

 

独立を決めてからオープンまで1年!失敗しない飲食店開業の流れ8ステップ(その①)

飲食店開業の流れ徹底解説はこちら

 

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