2022.3.31

独立を決めてからオープンまで1年!失敗しない飲食店開業の流れ”8ステップ”(その①)

独立して飲食店を開業しよう!そう決心しても何からはじめていいのかわからないのが当たり前です。一般的に約1年は掛かるという飲食店の開業までにやるべき事をしっかりと把握して、お客様に喜ばれる繁盛店をつくり上げましょう!

Step.1 開業することをゴール(目的)にしない

当たり前のことですが、よく陥りがちなことでもあります。

「自分のお店を出そう」と独立開業を決めたとき、お客様に愛され、繁盛している姿をワクワクしながら想像しているのではないでしょうか?
ただ、いざ準備をはじめると「やることが多すぎて大変」、「思うように進まない」など、「とにかくまずは開店させなければ」とお客様に喜んで頂くという当初の目的を見失ってしまいがちです。

もちろん立地や物件など、妥協しなければならないことも多くありますが、開店したあとに「やっぱりこうしておけば良かった」と、開店を優先し過ぎてあとで後悔するような決定は極力避けたいものです。
vision
そのためにはやはり、「なぜ自分は飲食店を開業しようと思ったのか?誰に、どんな価値を提供して喜んでもらおうと考えているのか?」

この自分のヴィジョンを迷った時の判断基準にすることが大切です。オススメの方法はご自分のイメージを「書面にしていつも読み返して最初の目的を忘れないようにする」ことです。

Step.2 お店のコンセプトを決める

Step.1で描いた自分のヴィジョンを開業するお店に当てはめたものがコンセプトとなります。

コンセプトは「概念」と訳されることが多く、お店がどのようなお客様に対して、どんな料理やサービス、利用動機、居心地、雰囲気などを提供するのか?を短い言葉で表したものです。concept3

 

飲食店のコンセプトをつくるのにはコンセプトシートを活用し頭の中を整理するのがオススメで、中心のコンセプトに対してシートの各要素が矛盾なく結びついている状態にします。

コンセプトシートの詳細はコチラ

Step.3 コンセプトに合わせた立地・物件を探す

一度出店をしたら変更がきかないのが店舗の立地。それゆえ、「ここは良さそうだ」という直感ももちろん大事ですが、それだけで決めるべきではありません。出店するお店のコンセプトや業態が立地とあっているかが重要となりますし、それを客観的な視点で分析する必要もあります。

立地

●立地

人口統計データ

市町村単位であれば、現在の5歳階級別人口や増減など県のホームページから入手できます。あとは最寄りの駅の乗降客数などもインターネットで調査します。世帯数 、学生数、事業所数などから狙うべきターゲットがどの程度いるのか確認します。

来店見込客の店前交通量

店舗前の道路の曜日別(平日・週末)、時間帯別(朝・昼・夜)で15分程度を数回調査し推計します。実際に店の前を通る人がお店のコンセプトにあっているかなどもチェックします。

店前交通量・通行量

店舗目の道路の曜日別(平日・週末)、時間帯別(朝・昼・夜)で15分程度を数回調査し推計します。実際に店の前を通る人がお店のコンセプトにあっているかなどもチェックします。

周辺マーケットの飲食需要の大きさ

大きな駅前や繁華街など人通りの多い立地は別として、出店候補の物件の周辺には飲食店が何店舗くらいあって、自店の競合となりそうなお店はどの程度繁盛しているのかを調査するのも有効です。これにより出店した場合はどのくらいの売上が見込めそうか?の予測が可能になります。

視認性・入りやすさ

目当ての物件がどの程度目立っているのか、実際に歩いたり、車で通って確認します。

物件

●物件

「階数・看板掲出可否」を確認する

業態にもよりますが基本 1 階がベスト。看板もどこまで出せるかによって露出効果が変わるためチェックが必要です。空中 地下階の場合、出入口や階段、エレベーターに表示物をつけることが出来るかも確認するといいでしょう。

「面積・部屋の形」を確認する

店舗として使える実際の面積を確認します。面積は足りていても形によって想定している店舗が実現できない可能性も。スペースの無駄は極力削減すべきです。

「設備の状況」を確認する

特に「居抜き物件」の場合、設備や内装の状況を確認します。加えて、電気、ガス、給排水、空調などの容量や能力も確認するといいでしょう。

・居抜き物件で開業する場合

改装費用がどのくらいかかるのかのチェックは必須です。造作譲渡として購入する場合は「何を」購入するのか、はっきりさせる必要があります。
調査した結果を入力するとその物件(立地)の総合評価がわかる物件評価シートもご活用ください

Step.4 事業計画・資金調達

開業までには様々な工程がありますが、予想以上にお金がかかったり、考えていなかった業務が発生して準備の遅延が発生したりと、そのどれもが予定通りにいくわけではありません。だからこそ事業計画では可能なかぎり日数や費用などの数値を明確に予定し、さらにそれが「予定通りにいかない」ということも盛り込んだ上で少し余裕を持ったスケジュールと資金計画が必要となります。

funding

資金計画

資金調達先はひとつではありません。どこからいくら借りれるのかは重要なポイントとなります。

  特徴・ポイント
自己資金 多いに越したことはない。
目標としては50 %程度準備したいが、現実的には 30%程度が妥当な水準だと言われています。
銀行(都市) 東京、大阪などの大都市に本店があり、広域展開している銀行。実績がないと融資はおりにくいため、取引の有無は世間的な評価としての 1 つの判断材料にも出来る。
銀行(地方) 各都道府県に本店のある銀行。地域経済に大きな影響力を持つ。こちらも実績がないと融資はおりにくい。
銀行(信用金庫) 地銀よりも更に地域に根付いた金融機関。厳密には銀行とは異なる経営形態であり、営利ではなく相互扶助が目的であるため、飲食店開業時などには向いている
日本政策金融公庫 資本金を全額政府が出資している政府系金融機関。特に創業時融資について借り入れを起こしやすいのが特徴。ただ政府系ということもありチェックは厳しく、事業成立性に関しては特に注視される。
親族・知人・友人 飲食店開業時の借入先としては大きなウェイトを占める。ココで金を借りられない人は飲食では成功しにくいとも言える。
ノンバンク 文字通り「銀行以外」の金融機関。比較的審査も軽く、即日借り入れなども可能な機関もある。ただしリスクが大きいのは事実なので、借り入れを起こしている企業は注意が必要。

投資計画

投資計画の第一歩は何にいくらくらいかかるのか。開業時に必要な費用を相場観でとらえる事です。

費用の目安(最低限度)

  詳細項目 金額
物件取得費 保証金
権利金
敷金
仲介手数料 など
物件によって千差万別
設計
デザイン
監理費用
設計
デザイン
監理費用など
5~8 万円 坪
施工費の10%
実質 5~ 8%
設備・内装工事費   30~50 万円 坪
建設費   100万円以上 坪
厨房工事費

設計料
厨房機器
15万円以上 坪
什器備品費 食器
制服
椅子
テーブル
メニューブック
照明
10万円以上 坪
開業費 販売促進費
人材募集費
教育費
予備費
5万円以上 坪

よく使われる投資に関する指標に投資回収率(ROI)があります。

計算の仕方は、

投資回収率=年間営業利益÷初期投資額

例えば年間の営業利益が200万円で初期投資が1000万円だったとすると、200万円÷1000万円=20%です。
つまり5年で投資を回収する計算になります。

一般的に適正と言われているのが15~25%で15%なら6.6年で回収ということになりますが、最近の飲食業界のスピード感を考えるとできるだけ早い投資回収を目指すべきです。

売上計画

代表的な売上目標設定方法に以下のようなものがあります。

 

sales

「家賃の10 倍」 にて算出

一般的に家賃比率は10 %以内に抑えた方が良いという指標があるため、一番簡単な売上目標としては家賃を10倍するという設定方法があります。
※都心や商業施設などでは家賃比率が 15 %程度になる場合もあります。

設定客単価× 客数充席率 × 回転数 × 営業日数 にて算出

日々 の売上の積み上げで計算します。どれだけ現実的な数字で目論みを立てられるかがカギとなります。

客単価の予想

最も簡単なのはメニューの価格帯が似ている競合店の客単価を把握することです。自店の想定する組客数で実際にターゲットとなるお店に飲食訪問し、いくら支払ったかで想定します。また自店のメニューのプライスポイントやプライスライン、ポーションから一人当たりの食数を想定してかけ合わせ、それにドリンクの杯数を加えて計算します。

「目標月坪売上× 坪数」 にて算出

月坪売上 15 万円あれば繁盛店と言われています。まずはこの売上を目指しましょう。

 

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