2023.1.20

【飲食店開業には約1000万円?】開業費用の相場感

はじめて飲食店を開業する方にとって、開業費用に関する事は非常に重要、かつ未経験の事ばかりだと思います。

本記事では、飲食店を新規開業をするにあたって、どんな事にいくら位の費用がかかるのかを明らかにしていくことで、無理のない開業資金計画、そして開業後の店舗経営の参考にして頂ければと思います。

 

飲食店開業にかかる●●の経費

日本政策金融公庫のデータによると実際に飲食店を開業した方(N=96)の費用の内訳は以下のようになっています。

費用項目 平均費用 構成比
内外装工事費 368万円 41.7%
機械・什器・備品等 186万円 21.1%
運転資金 169万円 19.1%
テナント賃借費用 155万円 17.5%
営業保証金・FC加盟料 6万円 0.6%
合計 883万円  

出典:日本政策金融公庫「新規開業実態調査」

では、それぞれの費用についての相場感をご説明してきます。

 

1. 内外装工事費


飲食店をつくるには「設計」と「施工(工事)」が必要となります。通常の飲食店開業であれば建物はすでにある場合が殆どなので必要となるのは内装と一部外装の設計と施工となります。

① 設計・デザイン費

*5~8万円/坪
*施工費の5-8% など

設計・デザイン費は専門のデザイン事務所に依頼したり、内装業者に一括して依頼することもあります。もちろん一括で依頼する方が安価に抑えることはできますが内装にこだわるのであれば個別に依頼する方が良いでしょう。

 

② 内外装工事費

飲食店の開業費用の中で最も大きな割合を占めるのが内外装工事費です。目安となる相場はスケルトンであれば

*20~40万円/坪あたり

くらいですが、居抜きであれば10万円/坪以内に収めるくらいが良いと言われています。

 

2. 機械・什器・備品等

① 機械

多くは厨房設備となります。厨房設備とは冷蔵庫、冷凍庫、ガスレンジ、フライヤー、シンク、食器洗浄機などでおおよその目安は120~200万円と言われています。

② 什器・備品

店舗のテーブルやイス、棚、座布団、、レジカウンターなどがあります。内外装費に含める場合もあります。
加えて食器類や調理器具、箸や洗剤

 

 

 

 

 

 


また、既にメニューの価格や客数・回転率について考えられている方は、基本となる計算式に沿って、現状どれくらいの売上高を見込むことができるのか。そして、そこから以下に記載する原価・経費を差し引きどれくらい手元に利益として残るのかを計算しておくと良いと思います。

そして、売上高の右の欄には、開業初年度と2年目の売上を比較できるように、開業から1年後の目標を定めましょう。開業後1年で何を変えていくか、自分の事業プランを明確にし、売上予測をしましょう。
(例:開業してから、1年後にデリバリー・テイクアウトを開始する等)

 

②売上原価(仕入高)の算出

売上原価は、売上高×原価率で求めることができます。

1.原価率は30%が一般的な指標

飲食店における原価率は、一般的に30%が指標と言われています。しかし、全てのメニューについての原価率を30%にする訳ではなく、お店全体の売上に対する原価率を考え、バランスを取りましょう。

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お店の看板商品はお値打ち商品としてお客様をお店に呼ぶためであれば、原価率を高めに設定しても、原価率の低いサイドメニューやドリンクを組み合わせることで、全体のバランスを取ることができます。

自店のコンセプトを元に、看板商品となるものがあれば、まずは看板商品の原価率から考えていきましょう。

以下の表のようにメリハリのある原価率設定を心がけると良いと思います。

原価率 商品数割合 概要
40% 1 お値打ち商品としてお客を店に呼ぶ役割
35% 2 お値打ち商品としてお客を店に呼ぶ役割
30% 4 原価率設定の目標商品
25% 2 利益商品そしておすすめ商品で注文を目指す。
20% 1 利益商品としておすすめ商品で注文を目指す。

2.業態によって原価率設定をコントロール

お店の業態によっても基本となる原価率が異なります。初めは30%を基準にして調整をしていくと良いと思いますが、30%に捉われる必要はありません。

セルフサービスやテーブルオーダーを使うカジュアルな業態の場合、人件費を低く抑える代わりにウリの商品には原価を掛けるなど、実際の飲食店では、20%のところもあれば40%以上の飲食店もあります。自分自身のお店のコンセプトに基づき、原価率を決定しましょう。

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③人件費の算出

売上原価と並んで飲食店経営の大きなウエィトを占めるのが人件費となります。

1. 実際の店舗運営を想定して必要人員を算出

項目 指標
ホール人数(満席時) 4~6テーブル(組)に1人
客単価の高い飲食店 最大4テーブルで1人
ホール人件費:キッチン人件費 1:1

まずは、実際の店舗運営を想定した勤務シフトを作成してみましょう。

一般的に、ホールは4~6テーブル(組)に1人、キッチンは1つの調理器具(焼き場、揚げ場など)に1人のスタッフが適正といわれています。しかし、業態や店舗の状況、店内のレイアウトによっても必要となる人数は大きく異なります。店舗を運営していく上での最適な人数は、お店が忙しい時間帯やスタッフの作業能力なども考慮して判断していく必要があります。

 

2. 必要人員から人件費を算出

必要な従業員の数が分かったら、時給×1人当たり勤務時間×日数×必要な人員を基にして、人件費を計算してみましょう。

また、実際の店舗運営を想定しても、人件費が多くの割合を占めるようでは、サービスに比重を置いているとはいえ適正ではありません。

飲食店における人件費は20%~30%が目安とされています。算出した売上高から、人件費を割り戻し、適正かどうか見合わせてみましょう。ご自身の想定する人件費を大きく超えてしまう方は、店舗運営の見直しが必要であると思います。自動化やマニュアルの作成などで、人件費率を見直しましょう。

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こちらは、日本政策金融公庫が開業される方に向けた「創業の手引き+」(飲食版)に記載している業種別の原価率・人件費の目安です。このように業種によっても数字が大きく異なります。自店の業種に当てはめるなど、参考にしてみてください。

*日本政策金融公庫「創業の手引き+(飲食版) 再編・加工
  寿司 食堂 日本料理 酒場 中華 うどん 喫茶
原価率 44% 37% 37% 32% 34% 33% 32%
人件費率 29% 33% 32% 35% 33% 36% 35%
 

④その他の経費

飲食店では、大きく分けて、上記の仕入、人件費の他に家賃・水道高熱費、販促費などの経費が挙げられます。
この他にも、レジの月額費用やごみ処理代、Wi-Fi代、損害保険料、振込手数料といった1つ1つの金額は小さくても、毎月経常的に発生する費用も多数存在します。
そのため、事業に必要な日々の原価や経費について他店を参考にするなどして網羅的に把握することが必要です。開業されるお店にどれくらいの経費がかかるか分からない方は、お店のコンセプトやオペレーションを元に必要な経費を一緒に考えていきましょう。
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個人事業主の場合は、売上高から仕入や人件費、経費を差し引いた利益から税金や借入の返済額を支払い、そこから事業主の分の人件費や生活費が支払われることになるので、そこも考慮した見通しを考えることが必要です。

今回は、日本政策金融公庫の創業計画書を元に、【8.事業の見通し(月平均)】の作成ポイントについてお話しさせて頂きました。
事業計画書の作成方法や開業、経営にあたっての不安点など気になるご質問がある方は、別途相談フォームよりご相
談をお願い致します。

新規CTA

 
<この記事の著者>

梶田将隆(公認会計士・税理士)

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国立大学卒業後、27歳で公認会計士登録。大手監査法人 で金融機関及び製造業を中心に幅広く、かつ数多くの上場会社の監査を担当。その経験を活かし会計指導の他、在庫管理及び原価管理方法などの制度会計以外のアドバイザリー業務を行う。また、セミナー講師も担当し80名の経理担当者から高評価を得る。コロナ禍においては各種給付金の申請サポートで100店舗以上を無料で実施。現在は飲食店専門の公認会計士・税理士として開業時の事業計画書の作成支援から、その後の会計顧問まで受嘱している。