2022.4.26

ひとりではじめる【飲食店の開業資金】 について①~飲食店を開くにはいくら必要?~

飲食店を経営されている皆様、これから開業されて飲食店を経営する予定の皆様、飲食店専門の公認会計士・税理士の梶田です。

今回のテーマは、飲食店を開業するために必要な資金のお話です。飲食店開業までにはコンセプトの設計や、物件の契約、必要な書類手続きなど、煩雑な準備が待っています。が・・・飲食店を開業するために避けては通れない話が、どうやって膨大なお金を用意するの?ということです。

今回は飲食店を開業したいとお考えの皆様が、気になるであろう開業資金について、実際の資金調達の方法や、その金額などを飲食店の事業計画書作成支援でよくご質問頂く内容を質問形式でまとめていますので是非ご参考ください。

Q.1 飲食店を開業するための資金はいくら必要?

A. 1000万円~1500万円程度が相場です。

上記記載程度の金額がかかる方が多い印象です。多くの皆様もご認識の通り、上記金額は単純な相場感になります。実際は少ない投資金額で開業される方もいますし、多額の投資をかけて開業される方もいます。大事なことは、ご自身で決めたコンセプトを実現するために必要最小限の投資を行うことです。

なお日本政策金融公庫が2012年に発行した『創業の手引+』によれば、飲食店開業費用の内訳は下記の通りになります。

新規開業実態調査

(引用:日本政策金融公庫)

飲食店開設費用の内訳(不動産を購入した企業を除く。合計額883万円)として、

・内外装工事 41.7%(368万円)
・機械・升機・備品等 21.1%(166万円)
・運転資金 19.1%(169万円)
・テナント賃貸費用 17.5%(155万円)
・営業保証金・FC加盟金 0.6%(6万円)

となっております。


Q.2 開業資金としてどんな項目を想定していれば良い?

A. 主な項目は、①物件取得費用・②店舗設備費用・③運転資金・④(生活費)です。

各項目の説明は下記の通りです。

① 物件関連費用:物件を賃貸するために必要な資

例)保証金(敷金) 物件に何かあった時に、借主(大家)に担保として預けておく資金
礼金 物件の契約が成立した時に借主(大家)に支払うお礼
仲介手数料 物件の契約が成立した時に不動産会社に支払う手数料
前払家賃 1ヵ月分の家賃の前払い

 

② 店舗設備費用:店舗を運営するために必要な設備資金

例)厨房機器 シンク・ガス台・調理台・冷蔵庫・オーブン等
外装費 看板代等
内装・設計費 壁・床・照明・水回り・ガス・電気・インテリア・それらの設計
備品費 鍋・フライパン・食器・POSレジ導入費等

この店舗設備費用でおよそどの程度かかるかの相場は一概にはいえません。
物件の種類・広さによって大きく変わりますし、各業者・サービスの会社から複数社からの見積り(相見積)を入手するようにすることが重要です。物件が決定次第、相見積を入手するようにしましょう。

③ 運転資金:店舗を運営する為に必要な通常使用する資金

もっと簡単な言葉で書くと、運転資金とは、「通常通り仕入をして、オープンしたのにお客さんが一人も来なかった」時に生じるコストを意味しています。
飲食店における運転資金といっても、どこまでの範囲を運転資金に含めるのかは、色々な資料があります。本サイトでは、飲食店における大きな固定費の他、仕入代金も考慮して算定することとしています。


運転資金=食材費+人件費+家賃+水道光熱費


この計算式で運転資金を算出すると、飲食店における運転資金は算出可能です。
運転資金を確保する金額の目安は、6ヵ月程度です。開業時の飲食店における運転資金の確保は、いわば保険のような役割です。最悪の場合(お客さんが全然来ない場合)に備えて、6か月程度持っておくと資金的に余裕をもって開業できる一方で、運転資金の確保が1ヵ月程度でも開業することは可能です。運転資金がどの程度確保できているかを考えて開業しましょう。なお、自分のお店でどの程度見込むのかの目安は、日本政策金融公庫が2012年に発行した『創業の手引+』の開業後軌道に乗り始めた時期が参考となります。

 

開業後軌道に乗り始めた時期

(引用:日本政策金融公庫)

 

④ (生活費):収入がゼロの場合を想定して用意しておく資金

個人事業主として開業する場合、事業計画書等に織り込めない項目で、意外に出費が大きいのは自分の生活費です。開業される飲食店としての事業とは無関係ではあるもののある程度の貯金が無ければ生活することができません。こちらについても軌道に乗せるまでの6ヵ月程度の余裕資金を準備しておくことをお勧めします。

 

Q.3 開業のための資金調達方法にはどんな種類がある?

A.日本政策金融公庫による融資制度、信用保証協会による融資制度が一般的。

・日本政策金融公庫の融資制度

日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象に、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意した場合について、融資を行うケースがあります。実際には創業資金総額の3分の1~2分の1以上の自己資金を必要とする場合が多いです。また日本政策金融公庫では融資制度は複数あり、ご自身にあった融資制度は日本政策金融公庫の窓口でご相談の上、決定することが多いです。

・信用保証協会の融資制度

信用保証協会に馴染みなのない方も多いので、信用保証協会の制度について説明します。信用保証協会の信用保証制度とは、事業を営んでいる方が金融機関から事業資金を調達される際、「信用保証」を通じて、資金調達をサポートしてくれる制度です。

 信用保証協会

(引用:一般社団法人 全国信用保証協会連合)

上記、図で示すと、飲食店開業をされる方は、信用保証協会に、①保証申込 をすることで「信用保証」をつけてもらい、その信用保証があるからこそ、金融機関から融資を受けることができるという仕組みです。各都道府県により、創業時に受けられる制度が異なるケースがありますが、ほとんどの都道府県で創業に関連する信用保証制度があるので、お問い合わせの上、ご利用するか否かを検討することとなります。

今回は ~飲食店の開業資金について~ Q1からQ3まで記載しました。その他気になるご質問がある方は、別途相談フォームよりご相談をお願い致します。次回は同様のテーマでQ4以降をブログ記事にしますので、楽しみにして頂ければ幸いです。

 

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